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退職後の手続きマニュアル
このページは、起業・創業のために会社を辞めて事業を始めるまでの間の保険関係(雇用保険・健康保険・国民年金)について解説しています。 定年退職やリストラ等での失業中の手続きではありませんので、ご注意ください。
健康保険
退職後の健康保険については、
- 任意継続被保険者(会社に勤務していたときの健康保険を継続すること)になる。
- 国民健康保険に加入する。
のいずれかになります。(どちらを選択するかは自由です。)
任意継続被保険者
◇資格取得の要件
任意継続被保険者は、会社を辞めたからといっても希望すれば誰でもなれるわけではありません。次の要件を満たしていなければなりません。
- 「資格喪失の日(注)」の前日まで継続して2月以上被保険者であったこと。
- 「資格喪失の日(注)」から20日以内に申し出ること(この期間を経過すると受け付けられません)。
(注)資格喪失の日とは、退職した日の翌日をさします。
◇申出先
申し出先は、「加入していた健康保険(注)」によって異なります。
- 政府管掌健康保険の場合…社会保険事務所
- 組合管掌健康保険の場合…健康保険組合
(注)どちらの健康保険なのかわからない場合は、社会保険事務所にお問合せ下さい。
◇保険料
保険料は次の1.、2.のうちのいずれか少ない方の額となります。
- 退職時の標準報酬月額の82/1,000
- 前年9月30日における全被保険者の標準報酬月額の平均額(平成17年度は280,000円)の
82/1,000 … 22,960円
※ 40歳以上の被保険者は介護保険料としてさらに12.5/1,000が加算されます。
退職後の保険料の高さに驚かれる方も多いのですが、会社に在職時は保険料を会社と折半していたためです。つまり、今までは 会社が半額を負担してくれていたわけです。退職後は会社の負担はありませんので、全額を支払わなければなりません。
任意継続被保険者の保険料はその月の10日までに支払わなければなりません。任意継続被保険者の場合は、納付が遅れると資格を喪失することに なってしまいますので注意が必要です。(再取得はできません)
また、任意継続被保険者は、被保険者となった日から起算して2年を経過すると資格を喪失します。
国民健康保険
法令によれば、「健康保険、船員保険、共済組合等の加入者とその被扶養者でない者はすべてその市町村が行う国民健康保険の当然被保険者となる」となっています。 つまり退職後に任意継続被保険者とならなければ、当然に国民健康保険に加入しなければなりません。
◇届出先
市町村役場に14日以内に届け出ます。(世帯主に届出義務があります)
◇保険料
保険料は、前年の所得等によって決定されますが、各市町村によって異なります。また、失業中等の場合は減免されることがあります。
このように退職後の健康保険については、任意継続被保険者となるかまたは国民健康保険に加入するがのいずれかを選択しなければなりません。 どちらが有利かという点については、一概にどちらとは言えません。特に国民健康保険の場合は市町村によりますが、世帯員数や固定資産税額なども保険料の算定要素となるため、 退職前の賃金が同じであっても保険料に差が出ることがあります。気になる方は市町村役場に問い合わせることをお勧めします。なお、保険給付に関しては、 現行ではどちらも自己負担3割と同じになっています。
国民年金
国民年金の被保険者には次の3種類があります。
第1号被保険者 … | 日本国内に週所を有する20歳以上60歳未満の者で、第2号被保険者および第3号被保険者以外の者。 |
第2号被保険者 … | 被用者年金各法の被保険者、組合員または加入員。 |
第3号被保険者 … | 第2号被保険者の配偶者であって主として第2号被保険者の収入により生計を維持する者のうち20歳以上60歳未満の者。 |
会社に勤務しているときは、第2号被保険者として厚生年金保険に加入していたのですが、退職すると健康保険のように継続して加入することはできません。 すなわち国民年金第1号被保険者となる手続きをすることになります。また第3号被保険者であった配偶者がいる場合は、配偶者の方も第1号被保険者となる手続きが必要になります。
第1号被保険者となる手続き
◇届出
14日以内に市町村長に届けなければなりません。
◇保険料
月額 13,580円(平成17年度)
国民年金の保険料は毎年280円ずつ引き上げられ、平成29年4月以降は19,900円に固定される予定です。ただし、この金額は平成17年度の価格であり、 実際の保険料額は、年度ごとの保険料額に改定率を乗じた額となります。
◇申請免除(全額免除/半額免除)
国民年金には、免除制度があります。法定免除と申請免除があるのですが、法定免除は障害のある方や生活保護を受けている方等に対するものなので、
ここでは申請免除について解説します。
次のいずれかに該当する人が申請し承認されれば全額免除となります。
- 前年の所得が扶養家族などに応じた基準額(注1)以下の場合(本人、配偶者、世帯主のいずれもが基準額以下であること)
- 生活保護法による生活扶助以外の扶助などを受ける人
- 天災その他一定の理由により保険料の納付が著しく困難と認められる人
(注1)基準額は「(扶養家族数+1)×35万円+22万円」です。
「失業」は、3.天災その他一定の理由に該当します。
また、被保険者の事情に応じて納付しやすくするために、前年の所得が基準額(注2)以下の人に、保険料の半額を免除する制度もあります。
(注2)基準額は「118万円+扶養家族数×38万円」です。
◇免除期間の取り扱い
- 受給資格期間としては、免除期間も保険料納付済期間と同様に扱われる。
- 老齢基礎年金の年金額の計算上は、全額免除期間は保険料納付済期間の3分の1、半額免除期間は保険料納付済期間の3分の2の期間として計算される。
- 全額免除/半額免除によって免除された保険料は、10年以内の期間に限り追納することができる。
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