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会社設立のすすめ
起業を考えている方とお話をさせて頂くと、よく「個人事業よりも会社にする方がいいですか?」と質問されます。 ここでは、会社と個人事業を比較してみましょう。
会社設立のメリット
社会的な信用が得られやすい
企業の信用は、本来は経営内容や資産等の実質で判断するべきものですが、知名度の低い小規模な事業の場合、どうしても 経済力で判断されてしまいます。その点では、個人の資産だけで始めた個人事業よりも資本金が明確である会社の方が有利である と言えます。また、業種や業界によっては、会社組織(法人)でないと取引をしてもらえないケースがかなりあるようです。
資金が集めやすい
個人事業の場合、資金は経営者個人の自己資金か借入金のみになります。しかし、会社の場合は株主(株式会社の場合)や 社員(有限会社の場合)から出資金を集めることが出来ます。そのため、会社の方が個人事業よりも多くの資金を集めることが出来ます。 また、金融機関からの融資も受けやすくなります。
責任が有限になる
万一、事業に失敗して倒産した場合、個人事業の場合は事業主が個人の全財産をもって債務を返済しなければならないことになります(無限責任)。 しかし、会社の場合は出資者が出資した分だけの債務を負うだけで、それ以上の責任を問われることはありません(有限責任)。
ただし、金融機関からの融資を受けたときに、経営者が個人の財産を担保に提供している場合は、この限りではありません。
税制上のメリットが多い
個人事業の場合、所得税として最高税率37%という超過累進課税率により課税されますが、会社の場合は法人税課税されることになります。 法人税は資本金と所得額により異なりますが、最高でも30%の一定税率により課税されます。また、会社の場合は家族を役員や従業員にすることで 所得を分散することができます。その他にも青色申告をした場合の欠損金の繰越が7年間(個人事業は3年間)となるなどのメリットがあります。
会社設立のデメリット
設立に費用がかかる
個人事業の場合は、税務署等に届出をするだけでよいので、いつでも始めることができますし費用もほとんどかかりません。しかし、会社の場合は設立することだけで 費用がかかってしまいます。たとえ設立の手続きをすべて自分で行う場合であっても、定款の認証料(5万円)、定款に貼付する印紙代(4万円)、 登録免許税(株式会社15万円・合同会社6万円)、その他雑費を含めて、株式会社であれば約30万円近くの費用が必要です。 また、法務局や公証人役場、市区町村役場等に足を運ばなければなりませんので、時間もかかります。(合同会社は定款認証は不要です)
経理処理に負担がかかる
税法では、会社に対して 「複式簿記」で記帳を行うことと、決算書類は「損益計算書」と「貸借対照表」を作成することを義務付けていますので、記帳業務が煩雑になります。 また業種や従業員数によっては、会社にすることによって健康保険や厚生年金保険の適用事業となり、社会保険料の負担が発生する場合があります。
交際費の損金算入に限度額がある
個人事業であれば、交際費は原則として全額が必要経費として計上することができますが、会社の場合は一定の額しか認められなくなります。
法人住民税の税負担が発生する
個人事業の場合は、所得が赤字になれば税負担は発生しませんが、会社の場合は法人所得が赤字であっても、資本金額に応じて最低でも7万円の 法人住民税・均等割の税負担が発生します。
会社にする必要?
上記のように会社組織にすることには、一長一短がありますので、必ずしも会社にした方がよいというわけではありません。結局は業種や業態、規模、資金力等を考慮して
それぞれ自己の判断により決定するしかないということです。もし迷っているなら無理せずに個人事業で始めたほうがよいでしょう。個人事業で始めて、時期を見て会社にする
(「法人成り」)のが一番無理のない方法ではないでしょうか。
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